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なぜリチウンイオンキャパシタがマテハン機器に利用されるのか

なぜリチウンイオンキャパシタがマテハン機器に利用されるのか

マテリアルハンドリング(マテハン)機器とは

マテリアルハンドリング機器は、製造業や物流業界などで使用される機械や装置の総称です。これらの機器は、物品の運搬や取り扱いを効率化し、作業者の負担を軽減するために設計されています。

マテリアルハンドリング機器の市場は、製造業や物流業界の需要の高まりにより成長しています。具体的には以下の要因が複合的に絡み合って今後も成長していくと予想されています。

  1. 自動化の進展: 製造業や物流業界では、作業の効率化や生産性向上を目指して自動化が進んでいます。マテリアルハンドリング機器は、自動化ラインの中核を担う重要な要素です。自動倉庫システムや無人搬送車(AGV)、ロボットアームなどの需要が増加しています。
  2. eコマースの成長: インターネットの普及とeコマースの急速な成長により、物流業界はますます重要な役割を果たしています。マテリアルハンドリング機器は、倉庫内の商品の受け渡しや梱包作業の自動化に貢献しています。
  3. グローバルサプライチェーンの拡大: グローバルなサプライチェーンの拡大に伴い、物品の取り扱いや運搬がより複雑になっています。マテリアルハンドリング機器は、複数の国や地域間での効率的な物品の流れを支える重要な役割を果たしています。
  4. エルゴノミクスへの注力: 労働者の健康と安全が重視される中、マテリアルハンドリング機器は作業者の負担軽減に寄与しています。軽量化や小型化、自動化などの進歩により、作業環境の改善が進んでいます。

これらの要因により、マテリアルハンドリング機器の市場は成長を続けています。さらに、技術革新や新たな需要の発生により、市場はさらに拡大する可能性があります。

マテハン機器の軽量化や小型化のニーズ

一方で、近年、マテリアルハンドリング機器において軽量化や小型化が重要な課題となっています。その理由は以下のようなものです。

  1. 効率向上: 軽量かつ小型の機器は、より迅速かつスムーズな作業を可能にします。作業者はより素早く機器を操作し、物品を移動させることができます。
  2. スペース節約: 製造ラインや倉庫などの作業スペースは貴重です。小型の機器はスペースの効率的な利用を可能にし、他の設備や作業者の動線に影響を与えずに配置することができます。
  3. 作業者の安全性: 軽量な機器は、作業者が操作や移動を容易に行えるため、作業の安全性を向上させます。重い機器は操作時にバランスを崩しやすく、事故や怪我のリスクが高まります。
  4. コスト削減: 軽量で小型の機器は、材料や部品の使用量を減らすことができます。これにより、製造コストや輸送コストの削減が可能となります。

マテハン機器の電池の課題

また、近年ますます電池を使った電動型のマテリアルハンドリング機器が増加しています。

現在、鉛電池やリチウンイオン電池は機器の駆動力源として重要な役割を果たしていますが、いくつかの課題も存在します。

  1. 電池交換の必要性: 電池は限られたエネルギーを蓄えており、一定の時間や作業量に応じて消耗します。長時間の連続作業や重い負荷下での使用により、電池の充電は消耗します。充電可能な電池の場合、定期的な充電が必要です。しかし、電池の容量は時間とともに減少し、最終的には交換が必要となる場合があります。
  2. 予備電池の維持: 機器の連続使用や長時間の運用が必要な場合、予備電池の維持が重要です。これにより、作業中に電池交換を行うことなく、スムーズな作業を続けることができます。予備電池の維持には、充電や保管管理、適切な交換スケジュールの設定などが含まれます。
  3. 稼働率の低下:電池交換や充電のために、レールアウトをする必要があります。電池交換や充電の為に稼働が止まると、設備自体の稼働率も落ちてしまいます。またそれに伴い、電池を交換する作業員の工数や、稼働率低下を防ぐために余分に台車が必要になる場合もあります。
  4. 電池の寿命と交換コスト: 電池は寿命を持ち、使用時間や充放電回数に応じて劣化します。劣化した電池は容量が低下し、駆動時間が短くなることがあります。劣化した電池の交換は、機器のパフォーマンスや作業効率に影響を与える可能性があります。特にリチウンイオン電池は使用方法などによって寿命が短くなる可能性もあり、交換のためのモニター・管理コストは無視できません。
  5. 回生エネルギーの回収:電気代の高騰をうけ、マテハン機器へも省エネ化が求められています、またにCO2排出量を削減するため、消費電力の削減も求められています。鉛電池やリチウムイオン電池は、内部抵抗が高く十分な回生エネルギーを回収することができません。

リチウムイオンキャパシタの活用

リチウムイオンキャパシタとは

こうした課題から、近年では、マテハンにリチウムイオンキャパシタ(LIC)を活用するケースが増えています。

リチウムイオンキャパシタ(LIC)とは、一般的な電気二重層キャパシタの原理を使いながら負極材料として リチウムイオン吸蔵可能な炭素系材料を使い、そこにリチウムイオンを添加することでエネルギー密度を向上させたキャパシタです。

リチウムイオンキャパシタは高入出力

リチウムイオンキャパシタは、正極に電気二重層キャパシタと同様の活性炭、負極にリチウムイオン電池と同様の炭素材料を使用していますが、リチウムイオンをプレドープする独自設計により、高い出力密度とエネルギー密度を両立した次世代の蓄電デバイスです。

リチウムイオンキャパシタの特性として、大電流で急速充電してもバッテリーの劣化が少ない点があります。また、その高い出力密度のおかげで、マテハン機器に搭載した場合鉛電池との対比では、60%以上の省スペースが可能となります。

またリチウムイオンキャパシタは内部抵抗が低いため、鉛電池やリチウムイオン電池よりも回生エネルギーの回収能力が優れています。効率的に回生エネルギーの回収を回収することで、系統電力使用量を最大で50%程削減することができます。これによりマテハン機器の省エネ化を実現し、電気使用量削減に伴いCO2削減にも貢献出来ます。

リチウムイオンキャパシタは長寿命

リチウムイオンキャパシタは、電気二重層キャパシタよりも高いセル電圧で使用することが可能かつ、優れた高温耐久性を有しています。これは、プレドープにより負極電位を下げることで、正極電位が高くなることを抑えた設計にしているためであり、同時に負極の劣化も抑制されるため、充放電サイクルを繰り返しても高い耐久性を有しています。

長寿命なLICをマテハンに活用することで、予備電池の備蓄の必要性が減り、電池交換の頻度も大幅に減るため、管理コストを大きく下げことができます。

急速充電のメリット

リチウムイオンキャパシタは、短時間で充電可能であり、容量の80%まで20秒で充電ができるため、一度搭載するとバッテリの積みなおしの手間や充電待ちの時間ロスを削減可能です。

また、リチウムイオンキャパシタ(LIC)は充電しながらも作業できるので、マテハンの作業ポイントに充電ステーションを設置すれば、予備バッテリなし、載せ替え作業無しで24時間稼働が可能、稼働率を向上することができます。

まとめ

マテリアルハンドリング機器の市場は、製造業や物流業界の需要の高まりにより今後益々成長していくと予想されますが、それに伴い、マテハン機器の小型化や管理コスト削減の必要性も高まっていくと思われ、上記のような特徴をもつリチウムイオンキャパシタ(LIC)を活用するケースはますます増えていくものと考えられます。

具体的な活用事例はこちらをご参照ください。またマテハン機器へのLICの活用のご相談についてはこちらからお願いします。

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