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キャパシタの電圧とエネルギー量の関係:単位のはなし

キャパシタの電圧とエネルギー量の関係:単位のはなし

キャパシタの特性を表す単位として、F(ファラド)、Ah(アンペアアワー)、Wh(ワットアワー)などがよく使われますが、その内容が分からないという方も多いのではないでしょうか?今回は、これらの単位の意味やその関係についてご説明します。

F(ファラド)とは?

キャパシタ(コンデンサ)を手にされた方なら、必ずFやμFといった表示を目にすることと思います。

これは静電容量といって、そのキャパシタにどのくらい電荷を蓄えることができるかを表す量です。同じ蓄電デバイスでも、電池では見かけない単位なので戸惑う方も多いかも知れません。実はここにキャパシタと電池との本質的な違いが隠されています。

「キャパシタとはなにか」でもご説明したように、キャパシタと電池との違いは、電気の蓄え方にあります。化学反応により電気を蓄える電池とは異なり、キャパシタでは電極の表面に静電気の力で電気を蓄えるため、電圧(V)は蓄えた電気量(Q)に比例して直線的に変化します(Q=CV)。

この時のCを静電容量と呼び、電気量と電圧との関係をグラフで表した場合の傾きに相当します。

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F、Ah、Whの関係

横軸の電気量(Q)は、キャパシタに蓄えられている電荷の量で、Ahなどの単位で表されます。1Aの電流で1時間で蓄えたり消費できる電気量が1Ahというわけです。

電池の世界では電気を消費しても電圧は一定なので、蓄えられるエネルギー量は電圧と電気量の掛け算で表されます。このエネルギー量の単位がV・Ah=Whとなります。

一方のキャパシタでは電圧が直線的に変化するので、エネルギー量の算出には、この間の平均電圧(V1+V2)/2を使います。すなわちエネルギー量は(V1+V2)×Q/2というわけです。

この式とグラフを見比べてお気づきのことはありませんか?そうです。エネルギー量は電圧と電気量とで囲まれた台形の面積にほかなりません。

キャパシタのF、Ah、Whといった単位を目にしたとき、頭の中でこの台形がイメージできるようになればしめたものです。混乱しがちな容量(電気量):Capacityと静電容量:Capacitanceの違いや、エネルギー量が電圧の2乗で効いてくることなど、キャパシタへの理解を助ける強力なツールとなることでしょう。

リチウムイオンキャパシタのエネルギー量

リチウムイオンキャパシタ(LIC)とは、一般的な電気二重層キャパシタ(EDLC)の原理(EDLCについてはこちらのブログをご参照ください)を使いながら負極材料としてリチウムイオン吸蔵可能な炭素系材料を使い、そこにリチウムイオンを添加することでエネルギー密度を向上させたキャパシタです。

このリチウムイオンキャパシタと電気二重層キャパシタについて、先ほど説明したグラフを使ってエネルギー量の比較をしてみましょう。

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仮に両者のサイズは同じとし、正極にも同じ活性炭を使っていると仮定します。負極にも活性炭を使う電気二重層キャパシタとは異なり、リチウムイオンキャパシタの負極は格段に大きな容量を持っているので、セルとしての静電容量は同サイズの電気二重層キャパシタに比べて、およそ3倍が見込まれます。(この詳細については別の記事で説明)

  • 静電容量Cの電気二重層キャパシタ(作動電圧:0~2.5V)の電気量Q=CVは2.5Cとなるので、そのエネルギー量は(V1+V2)×Q/2=2.5×2.5C/2=3.1C。
  • 一方、静電容量3Cのリチウムイオンキャパシタ(作動電圧:2.2~3.8V)の電気量Qは3C×(3.8‐2.2)=4.8Cとなり、エネルギー量は(3.8+2.2)×4.8C/2=14.4C。

つまり、リチウムイオンキャパシタは同サイズの電気二重層キャパシタ(EDLC)に比べ、14.4/3.1=4.6倍ものエネルギーを持つことがわかります。

まとめ

いかがだったでしょうか?今回は、キャパシタにまつわる単位についてご紹介しました。

弊社では本日ご紹介したリチウムイオンキャパシタの開発・製造を行なっております。興味のある方はご参考にしてください。

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