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自動運転車にリチウムイオンキャパシタが必要な理由

自動運転車にリチウムイオンキャパシタが必要な理由

自動運転が注目される理由

近年、益々自動運転が注目されていますが、それはなぜでしょうか?

まず第一に、自動運転の車には、人間の運転ミスによる交通事故を減らすことが期待されています。自動運転車は、センサーやカメラなどによる周囲の状況の正確な把握と高度な判断力により、交通事故を防ぐことができると考えられています。

次に、自動運転車には、ドライバーが必要なくなるため、交通渋滞の緩和や、駐車場の減少など、様々な交通インフラの改善が期待されています。また、高齢者や身体障害者などの移動支援にも役立つことが期待されています。

さらに、自動運転車は、車両の所有者だけでなく、利用者にとっても新たなビジネスモデルを生み出すことが期待されています。例えば、シェアリングサービスやタクシー、配送サービスなどにおいて、ドライバーのコストを削減することができ、より効率的なビジネスモデルを実現することができると考えられています。

補助電源の必要性

一方で、自動運転車は安全性が、非常に重要な要素となります。

自動運転車には、多数のセンサーやコンピューターなどの電子部品が搭載されており、これらを動かすためには多大な電力が必要となりますが、万が一、補助電源が失われると、センサーやコンピューターなどが正常に動作しなくなり、自動運転機能が失われる可能性があります。

様々な気候環境で作動する起動用電源とは

自動運転者が世界で普及していくためには、例えば、北欧やカナダ、日本の東北地方などのように、冬に気温が零下以下になるような過酷な低温の地域でも安全に動くような自動運転機能を開発していく必要性があります。

したがって、今後ますますEV化が進んでいくのであれば、気温が大きく下がり、主電源であるリチウムイオン電池が作動しなくなったときに備えて、非常用及び起動用(補機用)の電源が必要となってくるのです。

鉛電池とリチウムイオン電池の課題

しかし、鉛電池やリチウムイオン電池は、低温下で充放電能力が低下したり、内部ショートが生じて、爆発するリスクを抱えています。

鉛電池の課題

鉛電池は、温度が低くなると充電容量が低下し、充電が遅くなることがあります。これは、鉛電池の内部抵抗が上昇するためで、充電時の電圧降下が大きくなるためです。また、鉛電池が凍結することで、内部構造が破壊され、充放電能力が低下することがあります。

リチウムイオン電池の課題

リチウムイオン電池は、温度が低くなると充電効率が低下するため、急速な充電や高電圧充電を行うと、電池の寿命が短くなることがあります。

また、低温下で充放電を繰り返すことで、電極内部にリチウムの析出が生じ、電極材料の破壊や内部ショートが生じることがあります。さらに、低温下で充電を行った際には、電池内部で発生する水素ガスが凍結し、内部圧力が増加することで爆発するリスクがあります。

低温でも放電するリチウムイオンキャパシタ

リチウムイオンキャパシタとは

リチウムイオンキャパシタ(LIC)とは、一般的な電気二重層キャパシタの原理を使いながら負極材料として リチウムイオン吸蔵可能な炭素系材料を使い、そこにリチウムイオンを添加することでエネルギー密度を向上させたキャパシタです。

リチウムイオンキャパシタ(LIC)は、長寿命で安全性が高く、高い入出力性をもつだけではなく、低温でも放電が可能という特徴を持っています。

リチウムイオンキャパシタが低温でも放電できる理由

一般的に、リチウムイオン電池は正極、負極ともに化学反応により電気を貯めています。そのため、低温になると抵抗が高くなり、充放電性能が低下することがあります。

一方、リチウムイオンキャパシタの正極は、物理反応で電気を貯めているため温度の影響は受けにくくなっています。しかし、負極はリチウムイオン電池と同様に化学反応で電気を貯めています。それでも、リチウムイオンキャパシタはプレドープと言う特殊な技術を用いることで、リチウムイオン電池では使いにくい特殊な負極材料を使いこなせるため、低温下でも高い充放電性能を発揮することができるのです。

例えば、3300Fのキャパシタンスのリチウンイオンキャパシタのセルの場合、零下30度のような過酷な環境でも約60%の容量を保ちつつ100Aの放電が可能であることが実証されています。

今後、寒い地域で自動運転車が普及していく中で、長寿命で安全性も高く、低温化でも一定の放電能力があるリチウンイオンキャパシタが注目されていくでしょう。



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